6日から2日間にわたって開かれた米中首脳会談。実質的な成果を得ようとテレビカメラの前で不満をぶちまけたトランプ米大統領に対し、中国の習近平(シーチンピン)国家主席はにこやかな表情を崩さず、「良好な関係」を懸命にアピールした。国内の重要行事を控え、何としても米中関係を安定させたい中国の事情がにじんだ。
両首脳の初顔合わせとなった首脳会談で、中国側が目指したのは何よりも「首脳同士の良好な関係をアピールし、両国関係が改善している雰囲気を作る」(政府に近い学者)ことだった。秋に最高指導部が入れ替わる共産党党大会を控える習指導部にとって、北朝鮮問題や貿易摩擦をめぐって米中関係がぎくしゃくすれば、国内の政治も不安定になりかねないからだ。
ただそんな中国の事情をよそに、会談前からトランプ節は止まらなかった。パームビーチへ向かう大統領専用機で記者団に、今回の会談を通じて核・ミサイルで挑発を続ける北朝鮮に対して中国が圧力を「強めるようになるだろう」と、制裁強化などの求めに応じるとの期待感を示した。
貿易問題でも「我々は長年にわたり不公正な扱いを受け、中国とひどい取引をしてきた」と改めて不満を表明。あげくに会談当日にシリア攻撃まで重ねられた。中国はアサド政権の責任を問う国連安保理の決議案にも反対してきただけに、中国にとっては「メンツをつぶされた」と言ってもおかしくない状況だ。
それでも、国営新華社通信は「協力だけが両国の唯一の正しい選択であり、我々は必ずよいパートナーになれる」との習氏の言葉を紹介。「両首脳は深く、友好的に、長時間会談し、新たなスタート地点から中米関係を発展させることに同意した」とひたすら成果を強調した。また、トランプ政権下でも、外交・安全保障、経済、サイバーなどの4分野で対話メカニズムを活用していく方針も打ち出した。
さらに新華社は夕食会でのトランプ氏の発言についても「習主席が指導する中国は素晴らしい発展の成果を出し、世界から幅広く尊重されている」「初めて会って意気投合し、良好な友好関係を築いた」と習氏を持ち上げる内容一色。トランプ氏が「全く何も得ていない」と不満を語った場面はばっさり抜かれ、国内向けに両首脳の蜜月ぶりをアピールする狙いは鮮明だった。
一方、米政府は1日目は会談内容について一切公式発表しなかった。「両国に利益をもたらす結果重視」(トランプ政権幹部)を目指す米側にとって、期待通りの成果が得られなかったと判断しているようだ。
ホワイトハウスによると、米側…