東野幸治さん=岡田晃奈撮影
■「1周回って知らない話」のMC 東野幸治さん
「まあまあ、そこは……」。トークの雰囲気が怪しい方向にいきそうになると、すかさず間に入り流れを修正する。
「弱っちい人間」だから身につけた能力 東野幸治さん
「基本的には弱っちい人間で、ヘコヘコして生きてきたから備わった」という危機管理能力で?多数の番組の司会を務める“リスク管理時代の申し子”だ。「番長とか学校のスターでなく、とにかく暗くて何となくそこにいるような学生時代だった」と自己分析。感覚的には芸能人というよりフロアディレクター(FD=スタジオで出演者に指示を出すスタッフ)だという。
大物芸能人ゲストに一般人が疑問に思う「失礼な質問」もぶつける「1周回って知らない話」(日テレ系、水曜夜7時、12日は特番で休み)のMCは、まさに適任だ。過去に和田アキ子や黒柳徹子らが登場したが「元々先輩と話をするのは苦にならない」。自身が気を使うタイプで後輩の気遣いにも敏感。だから後輩だと逆に気疲れするという。
今年50歳になる。MCではなく、気楽にトークできる「ひな壇」での出演も好きだが「この年齢になっては、後輩の居場所を奪っているようで悪い。『こうやって追いやられていくんかな』とも思うけど、芸能界は自分自身で、やどかりのように、家=立ち位置を変えないと生きられない」と感じている。
そんな姿勢が松本人志ら先輩のみならず、岡村隆史などの後輩からも信頼されるゆえんかと思いきや、「本当は誰とも仲良くないからこそ、分け隔てなく出来るんです。深く知ると、込み入った質問も出来ないでしょ?」。うそかまことか……。あの作り笑いにうまく隠された思いだ。(文・後藤洋平、写真・岡田晃奈)