決算発表の記者会見会場に入る東芝の綱川智社長=11日午後6時44分、東京都港区、竹花徹朗撮影
東芝は、2度にわたって延期していた2016年4~12月期決算を、国が認めた期限の11日に発表した。ただ、通常の決算につくはずの監査法人の「適正意見」は得られず、代わりに「意見不表明」という信頼性を欠いた異例のものとなった。経営破綻(はたん)した米原発子会社ウェスチングハウス(WH)をめぐる調査で監査法人との溝が埋まらなかった。
東芝、2カ月遅れで決算発表 監査法人の適正意見なし
「上場廃止にならぬよう最大限努力」 東芝社長一問一答
東芝を担当するPwCあらた監査法人は、原発事業の損失を小さくみせようとして、WHの経営幹部が「不適切な圧力」を部下にかけたことを問題視。損失を経営陣が早くから認識していた可能性も調べていた。
だが、詳しい調査の必要性を訴えるPwCに対して、東芝の綱川智社長は11日夕方の記者会見で「これ以上調査を続けても意味がない」と突き放した。PwCは報告書のなかで「調査結果を評価できておらず、財務諸表に修正が必要か否か判断できなかった」とした。
「意見不表明」は十分な監査の証拠が手に入らない場合に監査法人が出す見解で、大手上場企業ではきわめて異例だ。綱川社長は「適正意見のめどが立たないことから、これ以上、ステークホルダー(利害関係者)に迷惑をかけられない」と話した。
ただ、東芝の信用はさらに傷つ…