入学式が終わり、家族で飯野小仮設団地で暮らす曽祖母の森本嘉子さん(中央)を訪ねた橋本皐誠(こうせい)くん(手前左)。祖母の橋本恭子さん(右上)も見守った=11日午後0時55分、熊本県益城町、小宮路勝撮影
熊本県内の多くの公立小学校で11日、入学式があった。熊本地震で被災した益城町の応急仮設住宅団地に住む女性は、特別にこの日を心待ちにしていた。
町立飯野小学校のグラウンドだった場所に立つ飯野小仮設団地(48戸)。同じ敷地内の学校で入学式を終え、走って来たひ孫の橋本皐誠(こうせい)君(6)を森本嘉子(よしこ)さん(81)が笑顔で迎えた。
森本さんは仮設で一人暮らし。昨年の地震で自宅が全壊し、団地に入った。散歩に出ると子どもたちが手を振ってくれ、自治会を中心に住民も声をかけあい、イベントも多い。寂しくはないが、夜に一人になるとちょっと気持ちが沈む。
皐誠君が飯野小に入学すると聞いたのは昨秋。町内の別の場所で暮らしていて被災した孫夫婦が校区内に家を建てることを決めた。
「初ひ孫」のランドセル姿を楽しみにしていた夫の未智男さんは今年1月、85歳で亡くなった。「夫に見せたいなと思うと、ちょっと涙も出てしまいました」と笑顔で目元をぬぐった森本さん。「また来てね」と声をかけると、皐誠君はこう答えた。「また明日ね」(平井良和)