ルヴァン杯でプロデビューし、リーグ戦でも先発するようになった柏のMF手塚=河野正樹撮影
若手の成長を促すため、ルヴァン杯は今季から21歳以下の日本人選手(1996年1月1日以降に生まれた選手)1人の先発出場を義務づけている。第2節までで、先発した21歳以下は延べ47選手。昨季の9選手から大幅に増えている。
ルヴァン杯の開幕となった3月15日の柏―清水戦。この試合で、18歳の清水のDF立田悠悟は初めてプロの公式戦を経験した。「良くてベンチ入りぐらいだと思っていた」。直前に20歳のFW北川航也がけがをしたため、ポジションは違うがルールのおかげで、出番が回ってきた。
立田は身長189センチの体格ながら、試合では当たり負けする場面があった。「見ている時はこうできるかな、と思っていたところが、実際にはできなかった。悔しさばかりだった」
センターバックは経験がものを言うポジションで、監督も若手起用はためらいがちになる。清水の小林伸二監督も「勝ち点1を取らないといけないようなガツガツした試合では若い選手を使えない。でも、ルールがあるなら使わざるを得ない。若い選手はプレッシャーの中で使うことで伸びていく。今後、1人2人と増やしていった方がいい」。12日の第2戦も立田を先発起用した。
柏のMF手塚康平も、清水との開幕戦で20歳で先発プロデビュー。前半3分に先制点を奪うだけでなく、中盤の底でパスを左右にさばき、攻撃のリズムを作った。
柏は3月に元日本代表MF細貝萌を獲得したが、4月1日の広島とのリーグ戦では手塚が先発に選ばれた。柏の下部組織出身ながらトップに昇格できず、ニュージーランドでプレーしていた変わり種。ルヴァン杯が飛躍のきっかけとなった。
■先発、昨季の5倍以上に
メキシコリーグで前例はあるが、世界でもほとんどない年齢制限のルール。Jリーグは、高校を卒業したばかりの選手が公式戦に出る機会が少なく、その年代の育成が課題になっているため、ルヴァン杯で導入された。
2節までの計12試合を見ると、効果は出ている。21歳以下の先発は、昨年の約5倍の延べ47人。昨年は1次リーグ6試合で延べ4選手しか先発しなかった横浜マは、今季は2試合ですでに延べ5選手が先発。過半数のチームで1試合2人以上が先発している。
4月12日には、20歳の札幌DF進藤亮佑が決勝点を奪い、19歳の仙台MF佐々木匠が1得点1アシストなど活躍も目立つ。FC東京などで監督経験があるJリーグの原博実・副理事長は「監督にとっては、若手を使うのに踏み切れる。若い選手にとって公式戦に出ることで、何かのきっかけにしたらいい」。有望な若手がルヴァン杯で経験を積むことで、2年かかるところを半年とか1年で主力に育つ可能性もある。(河野正樹)
■21歳以下日本人選手の先発出場数
16年 17年
①6人→24人
②3人→23人
※①は第1節、②は第2節