流麗な4人乗りスーパーカーの中身は、日本のものづくりの粋を集めた電気自動車(EV)――。京大発のベンチャー企業「GLM」(京都市)が18日、2019年の市販を目指す試作車「G4」を国内初披露した。最高時速250キロ、価格4千万円という高級EVの量産開始で、米テスラのような世界的EVメーカーへの成長を目指す。
京大発ベンチャーGLM社長「知る人ぞ知る存在に」
GLMは10年4月、京大の大学院生だった小間裕康社長らが産学の支援で設立。京都府宇治市内に研究開発拠点を置き、安川電機やオムロンなど国内大手メーカーとの共同開発部品による2人乗りEV「トミーカイラZZ」を15年10月から販売している。生産は他社の工場に委託している。
「路上を走るヨット」がコンセプトというG4は、背の低い伸びやかなボディーに4座のシートを据え付け、前後のドアがハサミのようにはねあがる4ドアクーペ。かさばる内燃機関を持たないため、実用性と独創性を両立したデザインが可能になった。前後2基のモーターは最高出力540馬力、最大トルク101キロを絞り出し四輪を駆動。路面状況によってトルク配分を最適化する技術で、最高時速250キロ、0―100メートル加速3・7秒という欧州製高級スポーツカーに匹敵する運動性能を実現する。一方で、複合素材を用いた車体の軽量化などで、航続距離は実用EV並みの400キロを維持するという。
G4は開発思想と販売戦略もユニークだ。部品点数の少なさや設計の容易さといったEVの利点を生かして、プラットフォーム(車台)をモジュール化。完成車両とは別に、EV事業への参入を図る企業に、単体のプラットフォームや製造ノウハウを提供することで、国内外でのEV普及を商機につなげる狙いだ。
EVメーカーをめぐっては、米株式市場で今月、テスラの時価総額がゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて米自動車メーカー首位となるなど、将来性に市場の期待も大きい。この日都内であった発表会で小間社長は「日本の技術を詰め込んだ、細部まで洗練されたスーパーカー」と語り、出来栄えに胸を張った。
今後、衝突安全性のテストや委託生産の準備を経て、19年の量産開始を見込む。欧州や中東などへの輸出分も含めて計1千台の販売を目指し、価格は4千万円を想定している。(北林慎也)