帰国した山辺節子容疑者(右)=19日午前10時5分、熊本県益城町、福岡亜純撮影
「怪しい人か、善意の人か半信半疑だったが、今回こんな騒動になってびっくりした」。山辺節子容疑者を知る横浜市の男性(62)が朝日新聞の取材に応じ、複雑な心境を明かした。
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■「エリコ」名乗る
男性は2016年3月、中高年向けの交流サイトで知り合った。「エリコ」を名乗り、「数年前に夫と死別し、パートナーを探している」と告げられた。
自宅は東京・日本橋だがタイに滞在していると言い、メールで「バンコクで優雅な暮らしを2人で送りたい」「一日も早いご来タイをお持ち申し上げております」と誘われた。
男性は翌4月10日から1週間、タイへ。初めて会った山辺容疑者は、高級そうなミニスカート姿で、40代に見えた。タイの言葉もそこそこ話せて、若い日本人男性らを連れていることもあった。ハイヒールを履き、花柄のワンピースを着こなす。清楚(せいそ)な雰囲気を漂わせており、「世間知らずのお嬢様」と感じた。
現地では、「2人で暮らす」名目で不動産を見て回った。気に入る物件はなかったが、帰国後、3400万円の良い物件があったと連絡があり、半分の支払いを催促された。住所なども明かされず、一方的に振込口座を知らされたことなどに違和感を覚え、そこで関係を断った。
タイ滞在中には熊本地震が発生した。現地でも報道されていたが、山辺容疑者は何の反応も示さなかった。今回のニュースで熊本出身と知った男性は「もう熊本を捨てたとしか思えない。それとも別の人物になりきっていたのか……」。