男子フリーで演技するパトリック・チャン=北村玲奈撮影
(21日、フィギュア世界国別対抗戦)
【特集】フィギュア世界国別対抗戦
演技を終え、着替えを済ませたチャンがとつとつと語り始めた。「今多くの選手はジャンプを頑張っている。スケーティング技術を上げようという人はいない。ジャンプは短期間でできるけど、技術は何年もかかるんだ」。採点は上限のない加点方式に変わり、ジャンプが得意な選手が優位に立つ。表現力に定評のある26歳は、今のフィギュア界をそう言い表した。
人々を魅了する演技で、2014年ソチ五輪では銀メダルを獲得。そこからジャンプが得意な若手が次々台頭し、表彰台を狙うには複数の4回転ジャンプが必須となった。チャンも決して得意ではないジャンプを磨いたが、若手の勢いには勝てずに世界選手権は2年連続で5位。「自分はジャンプに不利なスケーティングスタイルなんだ」
だが、悲観はしていない。この日、2度のトーループとサルコー、計3度の4回転ジャンプを着氷させた。「今季4回転三つの成功は初めてかも。いい形でフィニッシュができた。いい演技をするコツがつかめていたらもっといいんだけどね」。五輪2大会連続の表彰台に向けて、手応えをにじませていた。