2016年の世界の軍事費に関するストックホルム国際平和研究所の年次報告書
軍事分析で知られるストックホルム国際平和研究所が2016年の軍事費についての報告を発表した。世界全体で前年比0・4%増の1兆6860億ドルで、1人あたり227ドル(約2万5千円)。北朝鮮の核・ミサイルや中国の海洋進出で緊張が続くアジア大洋州は前年比4・6%増で、地域別で最大の伸び率だった。
アジア大洋州の軍事費4500億ドル(北朝鮮は確認困難で含まず)のうち、日本、中国、韓国、台湾など東アジアが3080億ドル(前年比4・3%増)。東南アジアは419億ドル(同5・1%増)。10年間の伸びはそれぞれ74%、47%と著しい。
地域別の前年比伸び率では、ロシアを含む東欧が3・5%増(754億ドル)、西欧が2・6%増(2370億ドル)と続き、ロシアの脅威が増したためと指摘。軍事費が突出する米国は財政難から削減が続いていたが、前年比1・7%増に転じた。原油価格低下で産油国は軍事費を抑えがちで、サウジアラビアは30%減だった。
16年の軍事費上位10カ国と国内総生産(GDP)比は次の通り。※は推定。
①米国 6110億ドル、3・3%
②中国 ※2150億ドル、1・9%
③ロシア 692億ドル、5・3%
④サウジアラビア ※637億ドル、10%
⑤インド 559億ドル、2・5%
⑥フランス 557億ドル、2・3%
⑦英国 483億ドル、1・9%
⑧日本 461億ドル、1%
⑨ドイツ 411億ドル、1・2%
⑩韓国 368億ドル、2・7%(藤田直央)