九大院生3人が最優秀賞を獲得した台座スピーカーのデザイン。音楽に合わせて同心円状に波打つ仕組みだ(水野諒大さん提供)
音の振動を利用して音楽を楽しめるスピーカーを九州大の大学院生3人がデザインした。「聴覚障害者も体全体で音楽を感じてもらえれば」というアイデアの独自性が評価され、工業製品のデザインを競うアジア大会で最優秀賞に輝いた。
受賞したのは九州大学大学院芸術工学府修士2年の水野諒大さん(24)、小川慧さん(24)、河野圭紀さん(24)。3月に台湾で開かれた大会で7カ国・地域の学生代表11チームの頂点に立った。主催した設計ソフトウェアの開発・販売大手「オートデスク」(本社・米国)によると、大会は人材育成のため毎年開催しており、日本人の最優秀賞は8回目の今回で初めて。
昨年の国内大会で、水野さんは「マドラーなしで粉末を溶かすコップ」でものづくり部門の最優秀賞を獲得した。側面や底に突起を付けたコップを3Dプリンターでつくり、水と粉末を入れて手で回すだけで簡単に溶かせる仕組みだ。
これでアジア大会の出場権を得た水野さんは小川さんと河野さんに声をかけて代表チームを編成した。
大会の課題は「オーディオ技術」。デザインを考えるにあたって、3人はまず、すべての人が音楽を楽しめているのだろうかと話し合い、聴覚障害者に行き当たった。そして、耳で音を聴く代わりに振動で音楽が楽しめる台座型のスピーカーをデザインした。
無線通信で音楽をスピーカーに伝えるとモーターが作動し、利用者が腰掛けたときに接する面が同心円状に波打ち始める。音の強弱を波の高さ、高低を円の中心から外への広がり具合、長さを波の継続時間で表現し、触覚で音楽を感じとってもらう仕組みだ。
スピーカーは底が丸く、リズム…