ブラジル・サンパウロで4月30日、ジャパン・ハウスの開館を祝う麻生副総理(右)とブラジルのテメル大統領=田村剛撮影
海外で日本の伝統文化や技術の情報を発信する拠点「ジャパン・ハウス」の第1号がブラジルの最大都市サンパウロに完成し、4月30日、開館式が行われた。展示スペースやレストランなどを備え、日本の魅力を広く伝えることで「日本ファン」の拡大を目指す。ロンドンと米ロサンゼルスでも年内に開館する見通しだ。
サンパウロは中南米の経済の中心地で、最大の日系人社会もあることから第1号に選ばれた。目抜き通りに位置した建物はビルを改装したもので、新国立競技場を設計した建築家の隈研吾氏がデザイン。入り口には、日本のヒノキの板を組み合わせた装飾が施された。一般公開は5月6日からで、「竹」をテーマにした展示が行われる。
式典には麻生太郎副総理やブラジルのテメル大統領が出席。麻生氏は「ステレオタイプではない日本の姿を知ってほしい。活力ある交流を生みたい」と語った。テメル氏は「日本文化から学ぶべきことはたくさんある。ブラジル人と日本人がさらに近づくと確信している」と歓迎した。
ジャパン・ハウスはもともと、安倍政権が重視する領土問題や歴史認識について日本の立場を訴える拠点としてスタート。取り組みの柱には「日本の『正しい姿』の発信」を掲げる。当面は日本文化などを紹介する「ソフト路線」だが、外務省は、領土や慰安婦などを巡るテーマについても発信していく考えを示している。(サンパウロ=田村剛)