就任100日目を迎え、集会で演説をするトランプ米大統領=29日、ペンシルベニア州ハリスバーグ、ランハム裕子撮影
トランプ米大統領は29日、就任100日を迎えた。大統領選勝利の原動力となった「ラストベルト」(さびついた工業地帯)で演説し、「美しく偉大な雇用を米国に取り戻している」と実績を誇った。479回のツイートと30以上の大統領令で目玉政策を派手に打ち出したが、実現段階では議会や司法、外交の壁にぶち当たっており、トランプ氏の「米国第一」は足踏み状態が続いている。(ペンシルベニア州ハリスバーグ=五十嵐大介、ワシントン=佐藤武嗣)
トランプ政権100日 3月の出来事
トランプ氏に熱狂したラストベルトは今… 就任100日
「この美しい州と人々を愛している。大きな勝利をもたらしてくれた特別な場所だ」。白人ら約1万人で埋め尽くされた会場で、トランプ氏が演説を切り出すと大歓声が起きた。「USA」コールが叫ばれ、「公約は守られた」などと記されたプラカードが揺れた。
トランプ氏は「我々は行動の100日を実行した。企業の海外移転を終わりにし、美しく偉大な雇用を米国に取り戻している」と強調。離脱を決めた環太平洋経済連携協定(TPP)については「米国の雇用と経済の自由を守るため、破滅的なTPPから撤退した」と胸を張った。
トランプ氏は節目の演説場所にペンシルベニア州の州都ハリスバーグを選んだ。周りには、かつて栄えた鉄鋼業や製造業の工場跡地があるラストベルトを象徴する街だ。来年11月の上下両院の中間選挙や、2020年大統領選での勝利を見据え、「米国第一」政策の最重要課題である雇用拡大や製造業再生という原点に立ち返った形だ。
選挙さながら自由貿易を敵視、再交渉を決めた北米自由貿易協定(NAFTA)について「公正な合意ができなければ離脱する」と叫んだ。この日、国家通商会議(NTC)のナバロ議長をトップに、貿易と製造業の政策を手がける新組織をホワイトハウスに作る大統領令にも署名した。
また、「外国がタダで恩恵を受け、我々が負担を負っている」と述べ、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」について「今後2週間で大きな決断をする」と脱退の可能性を示唆した。
米メディアによると、就任日以来、戦後最多となる32の大統領令を発出。ツイッターでも連日つぶやき、海外に工場を転出しようとする企業や、気に入らない報道をするメディア、挑発行為を繰り返す北朝鮮などを牽制(けんせい)してきた。
しかし、政権運営は稚拙な面が…