愛知県議会で、人口の少ない選挙区の方が定数が多い「逆転現象」が起きている。県議会は、2年後の県議選に向け定数や選挙区を見直す特別委員会を近く設置する見通し。逆転現象解消や一票の格差是正が課題になるが、各党の利害が絡み調整は難航しそうだ。
逆転現象が起きているのは豊川市と安城市。基準となる2015年の国勢調査(昨年11月公表)で人口18万2436人の豊川市は定数3。一方、約1700人多い安城市は定数2だ。
県議会は前回県議選(15年)の前に、当時7通りあった逆転現象を全て解消した。当時は安城市より豊川市の人口が多く問題にならなかったが、その後安城市の人口が大きく増えた。
豊川市を減員するか、安城市を増員する対策が考えられるが、当事者は反対する。豊川市選出の小林功氏(自民)は「有権者数では、まだうちが2500人ほど多い。子どもや外国人を含んだ人口を基準に決める法律がおかしい」。安城市選出の嶋口忠弘氏(民進)は増員でバランスが崩れることを懸念する。「今は自民、民進で議席を分け合っている。豊川市を減らして総定数1減でよい」
このほか、県全体の議員1人当たりの人口と比較した選挙区人口の数値(配当基数)と現在の定数がかけ離れている選挙区も昭和区、瑞穂区、岡崎市・額田郡、豊田市の四つある。これらも検討対象になる可能性がある。あるベテラン県議は「各会派とも自分たちに有利にしたい。腹を割って話し合わないと収拾がつかない」と話す。(佐藤英彬)