政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)の作業部会は8日、労働基準監督官の業務を補う役割を民間の社会保険労務士などに委託するよう求める提言をまとめた。残業時間の上限を労使で定める「36〈サブロク〉協定」を届けていない事業所を対象に、社労士が残業の有無などを調べ、問題がある場合には強制捜査権を持っている監督官に引き継ぐ。6月の答申に盛りこみ、厚生労働省も提言を受け入れる方針だ。
労働基準法は、1日8時間、週40時間を労働時間の上限と定める。これを超えて時間外労働をさせるには、労使が36協定を結び、労働基準監督署に届ける必要がある。
厚労省の2013年の調査では、全国の事業所の約45%が36協定を届け出ておらず、うち35%は協定の存在を知らなかった。全国400万超ある事業所のうち、労働基準監督官が定期監督に入っているのは3%程度にとどまることから、規制改革会議で、社労士などに業務を補ってもらう必要性を議論していた。(南日慶子)