曙と、木藤さんそっくりのレスラー「いちょくりマシーン」=昨年5月撮影、いちょうの木クリニック提供
かつて大みそかの夜を沸かせた「曙対ボブ・サップ」。あれから10年以上が経ち、山口市の診療所が再戦を企画した。だが、曙が体調を崩し「幻」に。「地域のみなさんへ感謝の気持ちを込めたイベントに」と考えた院長は、つてをたどり、代わりのスペシャルゲストに来てもらうことにした。
大相撲の元横綱の曙と人気格闘家のボブ・サップの初対戦は2003年12月31日夜。結果は2分58秒で曙のKO負け。サップの右ストレートで、曙はうつぶせでマットに沈んだ。当時、視聴率では一時、「紅白歌合戦」を上回った。2人は15年の大みそかにも対戦し、曙が再び敗れた。
今回、対戦を企画したのは、山口市小郡船倉町にある「いちょうの木クリニック」。院長の木藤秀章さん(43)が無類のプロレス好きで、14日に開くクリニックの7周年「感謝祭」の目玉にと考えた。山口市出身のプロレスラー大谷晋二郎さん(44)が社長を務めるプロレス団体「ZERO(ゼロ)1(ワン)」からリングを借り、クリニック駐車場に会場を特設。15分一本勝負のスペシャルマッチを予定していた。
ところが先月、曙の体調が急変。全てのイベントへの出演を取りやめた。曙はその前に山口市を訪れた際、木藤さんに5月の感謝祭を「楽しみだ」と語り、体調を崩した後も「これだけは行きたい」と話したという。
ただ無理をさせるわけにいかず、木藤さんは「残念だが、早く元気になってもらいたい」と話す。曙が出場できなくなったため、木藤さんはつてをたどって代役探しを開始。有名な日本人レスラーが代わりに来てくれることになった。「大好きなレスラーの一人。オファーを受けてもらえたのがうれしいし、びっくり」と話す。サップらとタッグマッチで対戦する。
クリニックが感謝祭を始めたのは開業5周年の15年。地域を笑いで盛り上げようとお笑い芸人の長州小力さんを招待。その縁で昨年から曙も参加した。ちゃんこも振る舞い、子どもやお年寄りに好評だったという。
プロレスには、木藤さんいわく“自分にそっくりのレスラー”「いちょくりマシーン」も参加する。昨年、一昨年も出て、観客からは「院長をたたかないで!」と悲痛な声援が飛んだ。今年は1月から筋トレを重ね、仕上がりは上々だとか。
感謝祭は入場無料。プロレスは午後3時半から。恒例のもちまきもある。木藤さんは「これまで支えてきていただいた地域の方々に、お世話になった分を還元したい。地域も活性化すれば」と語る。問い合わせは、クリニック(083・976・8331)。(成沢解語)