川端康成の胆石。横山さんは川端氏の手術前に「どうしてもほしい」と頼んでいた(横山隆一記念まんが館提供)
高知市九反田の横山隆一記念まんが館で、横山さんの珍品コレクションを集めた企画展「隆一 珍コレクション展」が開かれている。トキワ荘の壁や、ゴッホが死んだ家の便所の紙、クジラの耳など、コレクション約750点をみることができる。
コレクションの基準は「ウソじゃないもの。次にお金がかかっていないもの。そしてなにより、面白いもの」。同館が開館したとき、自宅にあった横山さんの珍品も収蔵された。今回は開館15周年を記念して、一挙公開することになった。
珍品集めのはじまりは1949年。天理教を統率する真柱(しんばしら)の2代目、中山正善氏のすね毛を手に入れたことだったそうだ。横山さんが雑誌にこの話を書いたところ、読者や知人から珍しい品々が届くようになったという。
コレクションは多岐にわたるため、七つのセクションに分けた。「歴史の証人」というセクションには、50年に焼失した金閣寺の焼けた金具、ベルリンの壁などがある。
また、横山さんは趣味の幅が広く、俳優や文豪とも交流があった。女優の高峰秀子さんが結婚式で胸につけたランの花、アル・カポネの懐中時計のガラス破片、川端康成氏の胆石なども展示された。横山さんは川端氏の手術前、胆石をくれるよう頼んでいたという。
ほかにも、歴代警視総監の指紋、ベルギーの小便小僧の小便をしみこませたハンカチ、エベレスト頂上の石など。いずれの珍品、迷品の来歴は、横山さんが生前、説明していたもの。
学芸員の奥田奈々美さんは「品物それぞれに物語がある。じっくり見てお気に入りの品を見つけてほしい」と話している。
8月27日まで、月曜日休館。一般300円、高校生以下無料。6月11日午後1時半からは、横山さんと同じく珍品コレクターのやくみつるさんのトークイベントがある。問い合わせは同館(088・883・5029)。(森岡みづほ)