中国科学院国家天文台によると、同天文台の科学研究者は中国の郭守敬望遠鏡と欧州宇宙機関(ESA)のガイア宇宙望遠鏡が取得したデータを研究し、一度で過去最多となる591個の高速度星を発見した。現在まで発見されている高速度星の数が倍増となった。今後は複数の大規模なスカイサーベイプロジェクトの強者連合が新たな流れになり、これは高速度星などの銀河系の特殊天体の探査にかつてないチャンスと挑戦をもたらすとの分析がある。光明日報が伝えた。
宇宙の「陸上選手」としての高速度星は、毎秒400キロメートル以上の速度で「ダッシュ」し、最速で毎秒1700キロメートルにのぼる。米国の科学者であるShils氏は1988年にいち早くその存在を予言したものの、2005年になり初めて発見された。その後15年にわたり550個余りの発見が報告された。
高速度星は銀河系において数が非常に少ないが、銀河系の多くの重要問題、例えば銀河系の中央にあるブラックホール周辺の環境及び銀河系の構造などへの理解を促す。国家天文台の李蔭碧氏、羅阿理氏、陸由俊氏、趙剛氏らが今回発見した591個の高速度星のうち43個が銀河系の重力の束縛から逃れ、銀河系を飛び出す可能性がある。同時に李氏らは591個の高速度星の過去数年の軌道を計算し、その「出生地」と「誕生方法」の可能性を推測した。そしてこれに基づき、これらを超高速度星、超高速度エスケープ星、エスケープ星、高速ハロー星に分類した。
これらの高速度星のうち少数の恒星が銀河円盤恒星の化学的性質を示しているが、銀河系ハロー恒星の運動学的性質を持っている。研究者は、これらがより特殊な恒星であり、銀河系早期の崩壊において誕生したと推測している。これらの少数の特殊な高速度星については、今後の研究の掘り下げが待たれる。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年12月29日