名人戦第4局に勝利した佐藤天彦名人=17日夜、岐阜市、川津陽一撮影
佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第4局は17日、岐阜市の旅館「十八楼」で2日目が指し継がれ、午後7時51分、佐藤名人が142手で勝ち、対戦成績を2勝2敗のタイとした。佐藤名人が手堅く攻めて快勝した。
対局をタイムラインで振り返る
持ち時間各9時間のうち、残りは稲葉挑戦者が42分、佐藤名人が2分。第5局は26、27日に岡山県倉敷市で指される。
両者が得意とする角換わりの戦い。△5五歩を機に激しい駒の交換があり、双方がどのように相手陣に迫るかが注目された。
ここで佐藤名人がうまい手順を見せた。△7六桂以下、駒を得しながら△5三馬と自陣を固めることに成功。佐藤名人の総攻撃に対し、稲葉挑戦者も粘ったが、形勢は好転しなかった。終了図では後手玉に迫る手段がなく、先手玉は次に△8八銀成▲同玉△7八飛成▲同銀△8七歩以下の詰みがある。これで後手番の4連勝となった。
解説を務める副立会人の糸谷哲郎八段は「稲葉挑戦者の攻めが難しくなり、差がついた。鉄壁を築いた一連の手順が名人芸でした」と話した。(村瀬信也)
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佐藤名人の話 △5三馬(82手目)のあたりでは、あまり自信がなかった。最後の最後に受けきりが確定して、勝ちだと思った。
稲葉挑戦者の話 △8四桂(66手目)への対応を間違えたかもしれない。その後、攻めを続けられると思っていたのだが。
〈2日目の指し手〉先手・稲葉八段 △3六歩(封じ手=54手目)▲同飛△3八角▲2八歩△3五歩▲同角△5五歩▲2五桂△同歩▲3八飛△5六歩▲同歩△8四桂▲9九玉△3四歩▲4四角△同銀▲同歩△8六歩▲同歩△7六桂▲同銀△4九角▲4八飛△7六角成▲7七銀△5四馬▲5五歩△5三馬▲4七飛△3三桂▲9五歩△5六銀▲4九飛△4五桂▲9四歩△9二歩▲9五桂△8四銀▲4六飛△5七桂成▲6九金△6七銀成▲7六銀△7八成銀▲同金△9五銀▲同香△6五歩▲8七銀打△8四桂▲6五歩△7六桂▲同飛△7五銀▲6四桂△同銀上▲1八角△6三桂▲6四歩△同馬▲7五飛△同馬▲7六銀打△同馬▲同銀△6七銀▲8七銀打△7八銀成▲同銀△6八成桂▲8七銀打△7八成桂▲同銀△6八飛▲8七銀打△7九銀▲8八桂△6六金▲4五角打△6四歩▲7五歩△同歩▲4三歩成△同金▲7四歩△7六歩▲7三歩成△同玉(終了図)まで、佐藤名人の勝ち