韓国の文喜相・大統領特使(左)から文在寅大統領の親書を受け取り、握手する安倍晋三首相=18日午前10時6分、首相官邸、飯塚晋一撮影
安倍晋三首相は18日、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の特使として来日している与党「共に民主党」の文喜相(ムンヒサン)・元国会副議長と会談し、「大統領と早期に首脳会談を行うことを楽しみにしている」と述べた。文喜相氏は日韓の首脳が相手国を訪問する「シャトル外交」の再開を求めた文大統領の親書を伝達。関係改善に意欲を示した。
文大統領就任後初めてとなる日韓首脳会談は、7月にドイツで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議で行われることが想定されている。
一方、シャトル外交の再開をめぐり、文喜相氏は会談後、記者団に対し、首相が「快く『そうしましょう』とおっしゃった」と説明し、前向きな姿勢を示したことを明らかにした。
シャトル外交は2004年に小泉純一郎元首相と故盧武鉉(ノムヒョン)元大統領が合意して始まった。年に1度、相手国を訪問する形式だったが、小泉氏の靖国参拝問題で途絶え、李明博(イミョンバク)元大統領時代に復活したものの、再び中断。朴槿恵(パククネ)前大統領は一度も日本を訪問することはなかった。
会談では北朝鮮の核・ミサイル問題で協力を深めることを確認した。慰安婦問題の日韓合意についても議論し、首相は「日韓合意を含む二国間関係を適切にマネージしていく」と語った。
文喜相氏によると、文在寅氏が大統領選で公約に掲げた「再交渉」について首相との会談では取り上げなかった。文大統領の親書にも慰安婦問題については触れられていないという。日韓関係の関係改善に向けて前向きな雰囲気を作るため、あえて強硬な姿勢をとるのは避けたとみられる。
ただ、文喜相氏は会談後、韓国メディアの記者と懇談し、親書に慰安婦問題についても言及されていたと明らかにし、発言を修正した。(東岡徹)