ポナンザのロボットアーム(手前)と対戦する佐藤天彦名人=20日午後、兵庫県姫路市の姫路城、水野義則撮影
将棋の棋士と人工知能(AI)が戦う第2期電王戦二番勝負(ドワンゴ主催)の第2局が20日、兵庫県姫路市の姫路城で行われ、佐藤天彦(あまひこ)名人(29)がPONANZA(ポナンザ)に敗れた。これでポナンザの2連勝となり、将棋界の頂点に立つ名人の敗北が決まった。
佐藤名人は現役の名人として初めて公の場でソフトと対戦した。電王戦は今期で終了することが決まっている。近年、注目を集めてきたAIとの戦いは一区切りとなる。
対局は午前10時に始まった。双方が陣形を固め合った後、ポナンザが攻撃を開始。守勢に立たされた佐藤名人は徐々にリードを広げられ、午後7時半に負けを認め、投了を告げた。
終局直後、佐藤名人は「勝つのは相当厳しいと思っていた。思いつかない手を指されて、差がついてしまった。ファンの期待に応えられなかったのは残念」と落ち着いた口調で話した。開発者代表の山本一成さん(31)は「コンピューターが名人に勝つのは、一昔前には考えられなかったこと。すごくうれしい」と話した。
佐藤名人は昨年5月、羽生善治三冠を破り、初タイトルとなる名人を獲得した。12月には叡王戦で優勝し、電王戦出場を決めた。
佐藤名人はポナンザの貸し出しを受け、研究に取り組んだ。しかし、初手だけでも20種類以上の選択肢があり、作戦の的が絞れなかったという。第1局の記者会見では「150局以上、対戦したが、ほとんど勝っていない」と明かし、「今の棋士のレベルを超えていると思う」と話していた。(村瀬信也、深松真司)