「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案の衆院通過を受け、国会議事堂に向かって反対の声を上げる人たち=23日午後8時26分、東京・永田町、竹花徹朗撮影
「共謀罪」法案が衆院を通った23日の夜も、若者たちは国会前で声をあげた。尽くされぬ議論に憤った人たちは、参院での審議に期待をかける。一方、「テロ対策」とする政府に異論を唱えづらい雰囲気も広がる。
特集:共謀罪
「審議時間が圧倒的に少ない。法務大臣は質問に答えられない。法案には不安しか感じない」。都内の大学3年生、馬場ゆきのさん(20)は23日夜、国会前で抗議集会に参加した。学生団体「SEALDs(シールズ)」の元メンバーらが関わって設立された市民団体「未来のための公共」の主催だ。
馬場さんは一昨年、安保法に反対するシールズをテレビで見て、自らの言葉で政治を語る姿に感銘を受けた。今は「主張する場を守りたい」との思いから、国会前で「共謀罪」に反対の声を上げる。「どう問題点を伝えればいいのか。諦めずに声を上げ続け、法案を止めたい」
大学院生の千葉泰真さん(25)は、衆院で法案が可決される様子をインターネット中継で見つめた。「審議が進むごとに問題点が出てくるのは安保のときとそっくり」。元シールズの学生らがつくったシンクタンク「ReDEMOS(リデモス)」のメンバーで、4月、団体のフェイスブックに「このままでいいの? 共謀罪」という約4分の動画をアップした。LINE(ライン)で「既読」をつけただけで、捜査対象にされるおそれなどを指摘し問題点を解説。これまで6万回以上再生された。
千葉さんは2年前、国会前での安保法反対デモに参加した。イヤホンをした何人もの公安関係者らしき男性が、自分たちを観察していた光景が忘れられない。「『自分と関係ない』では済まない。周りの人に問題意識を伝えて、議論を盛り上げる必要がある。参院では衆院で掘り下げられなかった論点を掘り下げてほしい。そして国民もそれを注視する必要がある」
一方、安保法に反対して国会前…