英中部マンチェスターの爆発事件を受けて開かれた政府の緊急委員会後、ロンドンで23日、声明を出す英国のメイ首相=AFP時事
英中部マンチェスターで起きたテロ事件は、6月8日投開票の英総選挙にも影響を与えている。各政党は23日、犠牲者を悼んだり、事件を非難したりする声明を発表し、同日の選挙運動を中止した。選挙戦では欧州連合(EU)からの離脱交渉の方針や格差問題への対応などをめぐって各党が争っているが、治安やテロ対策が争点に浮上するとの見方もある。
終演直後に爆音、観客パニック 英爆発、床にボルト散乱
英コンサート会場で爆発、22人死亡 自爆テロか
「我々は将来こうした攻撃を阻み、暴力をあおる思想を打ち負かせるように取り組みを続ける」。メイ首相は23日、テロ事件を受けて首相官邸で開いた治安対策の緊急委員会後にこう述べた。
一方、野党からも労働党のコービン党首が声明で「恐ろしい出来事にぞっとしている」と述べ、犠牲者に哀悼の意を示した。自由民主党のファロン党首は「コンサートを楽しんでいるだけの子どもや若者を狙った、衝撃的でおぞましい攻撃だ」と非難。英国独立党(UKIP)のナトル党首も「被害に遭われた方に思いを寄せている」と述べた。
英国ではメイ氏が総選挙の前倒しを決めたことで選挙戦のまっただ中だが、事件を受けて各党とも23日は選挙運動の中止を決めた。
今回の事件が総選挙の行方にも影を落とす可能性がある。選挙戦では、これまで、各党はEU離脱交渉の方針や格差問題への対応などの社会政策を中心に議論を交わしてきた。
メイ氏は選挙遊説で、EUとの離脱交渉では「強い指導力が必要」と呼びかけて支持を訴える戦略をとっている。労働党内ではコービン党首の指導力を不安視する声が上がっていることを意識しているとみられる。与党・保守党はマニフェストで「過激主義やテロと戦う世界的な取り組みを拡大させる」と掲げている。今回の事件を受け、メイ氏はテロなどに立ち向かうため、改めて「強いリーダーシップ」を強調するとみられ、専門家の間では「事件は保守党に有利に働く」との見方がある。
ただ、メイ氏はキャメロン前政…