財務省近畿財務局が昨年4月、森友学園(大阪市)に売る国有地の価格の評価を不動産鑑定士に頼んだ際、高層建築を想定した地盤改良費約5億円を考慮するよう求めた問題で、鑑定の依頼文書にも地盤について「考慮し鑑定評価すること」と明記していたことがわかった。財務省は地盤の資料を鑑定士に渡したことを認めていたが、「考慮されることはないと考えた」と国会で答弁していた。
5億円減要請は「資料提出しただけ」 財務省が弁明
財務局、地盤改良費5億円減も要請 森友への売却前評価
特集:森友学園問題
書類は、依頼する業務の期間や内容などを記した「鑑定評価依頼条件」。23日の参院財政金融委員会で共産党の辰巳孝太郎議員が明らかにした。
文書には地中のごみの撤去費とともに「軟弱地盤について考慮し鑑定評価すること」と明記。鑑定士によると、国有地に予定されていた小学校は3階建てだったが、財務局から提出された関連資料には、高層建築を想定した地盤改良費として約5億円が記入されていたという。
23日の委員会で、財務省の佐川宣寿理財局長は鑑定前、学園側から地盤に関する資料を受け取ったとし、「それを鑑定士に提出して地盤の状況について考慮してくださいというのは普通のこと」と述べた。22日の国会では、「高層建築を前提とした工事費用は考慮されることはないと考えていた」と答弁していた。
鑑定士によると、高層建築用の地盤改良費は「合理的でない」として差し引かずに算定。鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費8億1900万円などを差し引いた1億3400万円を「意見価格」として近畿財務局に提出した。