テロの犠牲者に黙禱を捧げるマンチェスターUの選手ら=ロイター
サッカーの欧州リーグは24日、スウェーデンのストックホルムで決勝が行われ、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)がアヤックス(オランダ)と対戦した。英中部マンチェスターのイベント会場でコンサート終了直後に22人が死亡する自爆テロ事件から2日後。サッカーに気持ちを集中するのが難しい中で大一番を迎えた。
試合開始直前、センターサークルに選手が整列し、テロの犠牲者に哀悼の意を表する黙禱(もくとう)があった。マンチェスターUの選手は喪章を巻いた。観客席には「テロリズムに対し、団結する(UNITED)」との横断幕が掲げられた。
マンチェスターUには悲劇を乗り越えてきた伝統が息づく。1958年2月、遠征中だったチームを乗せた飛行機が滑走路が凍結していたミュンヘンの空港で離陸に失敗。選手8人を含む23人が命を落とした。その「ミュンヘンの悲劇」から10年後、生き残った監督、選手らにより、欧州クラブ王者に輝いた。
この日の試合は前半18分に先制したマンチェスターUが後半にも1点を追加し、若手主体のアヤックスを破って初優勝。来季の欧州チャンピオンズリーグの出場権も手にした。
先制点を決めたフランス代表のポグバは英BTスポーツのインタビューに「僕たちはテロの犠牲者のために戦った」と話した。
この夜の舞台となったストックホルムもテロの影が色濃く残る。今年4月、首都の中心部でトラックが暴走し、4人が死亡、多数の負傷者が出るテロに見舞われたばかりだった。
この夜の決勝の舞台となったフレンズ・アレーナは、マンチェスターでのライブ直後に詰めかけたファンがテロの犠牲となった米人気歌手、アリアナ・グランデさんが5月8日に欧州ツアーの幕開けで歌声を響かせたスタジアムだった。(ロンドン=稲垣康介)