過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦を行う米軍は25日、3月に行ったイラク北部モスルの空爆で、民間人100人以上が犠牲になったと確認した。2014年に有志連合が対ISの空爆を開始して以降、最大の民間人被害と見られる。
米軍の調査によると、空爆は3月17日朝、モスル西部の住宅街で行われた。イラクの対テロ要員と交戦していたISの狙撃手を狙うため、現地の指揮官の要請で、隠れている建物を標的に誘導弾1発を落とした。その結果、建物が大きく破壊され、狙撃手2人のほか階下に避難していた101人と、隣の建物の4人の民間人が死亡した。
米軍は、建物の破壊規模と、現場の遺留物から、空爆によってISが建物内に置いていた大量の爆発物に引火して被害を拡大したと分析。米軍、イラク軍のいずれも、民間人が建物に避難していることや、爆発物があることを知らなかったとしている。報道や現地の証言によると、ほかに36人が建物にいたとされるが、未確認としている。
ロイター通信によると、14年以降にIS掃討のためイラクとシリアで行われた空爆で少なくとも民間人352人が犠牲になったとされる。米軍のジョー・マーチン少将は「有志連合は民間人を守るため、あらゆる確実な方法をとる。最善なのはISを倒すことだ」とコメントした。(ワシントン=香取啓介)