クルーズ船から下り、待機していた大型バス続々と乗り込む訪日客=福岡市博多区の博多港中央ふ頭クルーズセンター
政府が地方創生の一つの柱に据えるクルーズ船の誘致。クルーズ船といえば、豪華、優雅などという言葉を思い浮かべる人も多いはず。ただ、中国からやってくるのは、格安ツアーが主流だ。「爆買い」が一時の勢いを失う中、格安ゆえの歪(ゆが)みが表面化している。
全国一のクルーズ船の寄港数を誇る福岡市。昨年は11月末までで306回と、前年1年間の259回を超えた。昨秋のある日も、到着した中国人客らが次々と大型バスに乗り込み、観光に向かった。まずは福岡タワー(同市早良区)を散策。「タワーは入場料がかかるので登りません」というガイドの声が聞こえた。その後、太宰府天満宮(福岡県太宰府市)を40分ほど見て回っただけで、バスは福岡市郊外の団体客向けの免税専門店に向かった。この日回ったのは同じ会社が運営する2店舗。買い物時間は各1時間ほど。福岡に来るクルーズ船は「ほとんど同じようなコースです」と福岡市の担当者は話す。
薄暗い店内には、金や銀をあしらったパッケージに「納豆エキス」「植物酵素」など、聞き慣れない商品。値札をみると数万円が並び、1箱5万円超のものもある。「体の全てに効きます」と女性が中国語で勧めてきた。「日本人はみんな使っています」
吉林省から家族で来たという6…