漁船の水槽から顔を出したメガマウスザメ=26日午後、三重県南伊勢町奈屋浦、戸村登撮影
三重県沖の熊野灘で26日、幻の巨大ザメと呼ばれる「メガマウス」が漁船の網にかかった。県内の漁港まで運ばれたが、比較的元気だったため、水族館関係者が血液を採取し、再び沖に放された。
メガマウス、また見つかる 三重沖で網に、漁港で保護
体長約5・1メートルのメスで、26日未明、尾鷲港の南約20キロの海域で漁船が水深約100メートルから巻き網を引き揚げたところ、網にかかっていた。漁船の水槽に入れて同県南伊勢町の港へ運び、鳥羽水族館(同県鳥羽市)の職員がメガマウスと確認した。
引き取りを検討しに現地に来た大阪市の水族館「海遊館」の西田清徳館長(59)によると、当初は氷づけにして持ち帰り、学術標本にすることを想定していたという。だが、スタッフが水槽に潜り、メガマウスの目やエラの動きがしっかりしているのを確認。同館が海に戻すことを提案し、漁船の関係者が応じた。西田館長は「生きた状態で血液を採取した例はほとんどないと思う。非常に貴重なデータだ」と話した。
千葉県沖でも22日、メガマウスが定置網に入っているのが見つかった。熊野灘でも見つかったことについて、東海大海洋学部の田中彰教授は「黒潮が強まって水温が23度くらいに上がり、回遊してくるのではないか」と話す。「血液からホルモンの状態が分かり、成熟状態などの解明に役立つと思う」と期待を寄せた。
メガマウスは1976年に米ハワイで初めて見つかり、これまでに世界で約110例、国内で約20例確認されている。(高木文子)