内戦下のシリアで、過激派組織「イスラム国」(IS)を狙った空爆の巻き添えによる民間人被害の報告が相次いでいる。在英NGO「シリア人権監視団」は、米軍を中心とする有志連合の空爆で被害が出ていると指摘している。
監視団によると、4月23日~5月23日の1カ月で、有志連合によるとみられる空爆での民間人の犠牲者は225人。集計データのある2014年9月からの民間人死者数は1481人で、最近1カ月の急増ぶりが際立つ。有志連合によると、最近の空爆の対象は、ISが「首都」と称する北部ラッカや東部デリゾール、イラク国境に近いアブカマル近郊だ。
また今月25~26日に東部マヤディーンで行われた空爆では、4階建てのビルが壊れ、106人が死亡した。多くが、ラッカなどから避難してきたIS戦闘員の家族とみられる。人権監視団によると、こうした空爆の後、マヤディーンとアブカマルから多くの人が近郊の村に避難を始めたことが確認されているという。
シリア国営通信によると、アサド政権も27日、マヤディーンの空爆を受けて、有志連合の空爆停止を求める書簡を国連事務総長らに送った。有志連合は朝日新聞の取材に「すべての民間人被害の疑いを調査する」と回答した。(イスタンブール=其山史晃)