北朝鮮が29日、3週連続、今年に入って9回目のミサイル発射をした。着弾の恐れは全国瞬時警報システム(Jアラート)で、自治体の防災無線や携帯電話会社の緊急速報メールを通じて伝えられるが、急速に増える「格安スマホ」などの一部の端末では受信できない可能性があり、専用アプリの活用が増えている。
Jアラート、受信できない格安スマホも 消防庁
Jアラートは、地震や津波などの災害や、ミサイルやテロによる危険を国民に知らせるため2007年に運用が始まった。昨年5月には全ての市区町村の役場に必要な機器がそろった。
ミサイル情報については、内閣官房が日本の領土か領海(沿岸から約22キロ)に落下する可能性がある場合に限り、Jアラートを起動させる。北朝鮮が今回、発射した弾道ミサイルは、日本の排他的経済水域(EEZ、沿岸から約370キロ)に着弾したとみられるが、新潟県佐渡島から約500キロ、島根県隠岐諸島から約300キロの日本海であり、Jアラートの使用は見送られた。
北朝鮮のミサイル発射をめぐり、これまでJアラートが使われたのは12年12月と16年2月の2回だ。
ただ、こうした情報を確実に受信できるよう、総務省消防庁は今月11日、携帯電話やスマートフォンで受信できるか確認する手順をホームページに掲載。受信できない端末の場合、専用アプリや自治体が配信する登録制メールの活用を呼びかけた。
ミサイルの発射情報などを通知する「Yahoo!防災速報」を提供するヤフー(東京)によると、専用アプリなどの利用者は延べ約1200万人。4月以降は100万人近く増え、従来の倍のペースという。担当者は「北朝鮮によるミサイル発射が頻発し、消防庁が広報したことが増加した要因の一つ」とみている。(四倉幹木、岡本玄)