高知県大川村は、山あいに集落が点在する
高知県大川村で5月下旬、議会を廃止し、有権者が参加して意思決定する「町村総会」の設置の検討が始まった。村は人口流出と高齢化にさらされ、議員の担い手不足に陥った。人口減が進む日本で、村の議論は今後の地方自治に影響を与えそうだ。
「村は守っていく。心配せんでええ」。四国山地の山並みに囲まれた大川村。5月3日の村の祭りで和田知士(かずひと)村長(57)が力説すると大きな拍手が湧いた。
1950年代、村には4千人前後が暮らしていたが、いまは400人余り。65歳以上が4割あまりを占め、村の推計では、2030年に人口が300人を下回る。「いつか村もなくなるのでは」。総会の話が持ち上がり、心配が広がっていた。
村は、16の集落が山肌に張り付くように点在する。山中久子さん(82)はわずか4人の集落で暮らす。商店がある村中心部まで車で30分ほど。歩く時は両手で杖をつく。選挙の時は隣の集落の投票所まで必ず足を運んできたが、総会に参加する自信はない。「年寄りは足が悪かったりしてよう行かん」
村はかつて鉱山で栄えたが、72年に閉山。75年には吉野川に早明浦(さめうら)ダムが完成し、村中心部の集落が水没した。03年には近隣の町との合併協議会設置を問う住民投票があり、大川村は賛成多数だったが、隣町で反対が上回り実現しなかった。
人口減少は進み、議会も「限界」に直面した。ある村議は「なんとかなるろうとここまできて、なんともならなくなってきた」。
村議会の定数は83年まで12…