6日、警官が襲われる事件があったパリ・ノートルダム寺院の周辺を包囲する警官隊=ロイター
AFP通信などによると、パリの観光名所ノートルダム寺院前の広場で6日午後、警戒中の警官がハンマーを持った男に襲われ、負傷した。襲われた警官の同僚が男を銃撃し、拘束したという。ロイター通信によると、仏検察の対テロ部門が捜査を開始した。
パリで銃撃、警官ら3人死傷 ISが犯行認める
ニュース専門局BFMTVは、容疑者について40歳のアルジェリア人の男と伝えている。同局によると、男はリュックサックからハンマーを取り出して、巡回中の警官の頭付近を殴りつけた。同僚の警官が2度発砲し、男は足を撃たれてその場に倒れたという。襲われた警官(22)は首付近に負傷したが、命に別条はないという。
ジェラール・コロン内相は事件発生直後、現場に駆けつけた。内相によると、容疑者の男は単独犯で、襲撃の際に「これはシリアのためだ」と叫んだという。襲撃に使ったハンマーのほかに料理ナイフ2本を所持していたという。自らについて「アルジェリア人の学生」を名乗っており、身元の確認を急いでいるという。
事件当時、広場周辺には数百人の市民がいたが、警察は避難を促して現場一帯を封鎖し、付近に近づかないよう市民に呼びかけた。寺院内には900人がいたが、事態が収拾されるまで寺院内にとどめられたという。目撃者に対して事情聴取も行われる。
パリでは4月、繁華街シャンゼリゼ通りで警官に向けた銃撃があり、警官1人が死亡、2人が重軽傷を負う事件があったばかり。この時、その場で射殺されたフランス国籍の容疑者(39)は、以前から警官殺害を計画している疑いがあるとして捜査対象になっていて、2月には一時拘束されていた。この時は過激派組織「イスラム国」(IS)が事件直後に犯行声明を出している。
フランスでは、2015年11月のパリ同時テロ直後から非常事態宣言が継続されている。(ジュネーブ=松尾一郎)