どっちから見ても「前」で、運転席も二つある乗用車。横から見て左右対称になるようにつなげ合わせるのが大変だったという=バンドン、古谷祐伸撮影
2台の乗用車の前半分をくっつけ、背中合わせに座った2人の運転手が息を合わせて前後左右に運転する――。そんな奇抜な改造車を、あるインドネシア人男性が完成させた。違法改造だとして公道での走行を禁止されたが、ネットで話題が広がり、4月にジャカルタで開かれるインドネシア国際モーターショーに招待されることになった。
改造車はトヨタ製の2台を真ん中で切断し、前半分同士を溶接でつなげたもの。ハンドルもエンジンもシフトレバーも二つあり、燃料タンクは一つを共有している。前後のタイヤが方向を変えられるので、2人の運転手が連携することで小回りを利かせてインドネシア名物の渋滞をすり抜けることができるほか、縦列駐車もしやすいという。片方のハンドルをロックして普通の乗用車としても走行できる。
作ったのは、ジャワ島西部バンドンでタクシー会社を営むロニ・グナワンさん(71)。ウーバーなどの配車タクシーサービスにおされて経営が傾くなか、昨年10月に「使わなくなったタクシーで面白い実験をしてみよう」と手作業で作り始め、1月に完成させた。
早速試そうと路上で走り始めて30分後、検問で止められ、当局の改造許可を得ていなかったため走行禁止に。だが、その様子を撮影した写真や動画が市民の間で話題となり、モーターショーに出ることになった。
グナワンさんは「次は警察に走行を認めてもらえるよう、なんとかしたい」と話している。(バンドン=古谷祐伸)