昼の休憩を終え、営業所を出発する茨城交通の永田理恵さん=水戸市
運転手不足が深刻になっているバス業界で、女性や若者の採用に力を入れる動きが広がっている。業界を支えてきたトラックドライバーからの転職が先細りするなか、地域の足を守ろうと、募集の幅を広げて働き手の確保をめざす試みだ。
茨城交通(水戸市)のバス運転手、永田理恵さん(36)は3歳の次男を保育園に預けてから、午前9時に出勤する。市内のショッピングモールなどを循環する路線を走り、仕事を終えるのは午後6時。そこから急いで次男を迎えに行く。
早朝から夜まで運行するバスの運転手はシフト勤務。休憩をはさむものの拘束時間が長くなりがちだ。
入社3年目の永田さんはシフトを調整し、平日のみ走る路線を担当。子どもを保育園に預けている時間帯に限った乗務にしてもらっている。1日の走行距離は約70キロで、同社の平均より約50キロ少ない。「おかげで子育てと両立しながら働けています」。子どもが大きくなるまでは、今の働き方を続けたいと考えている。
男の職場のイメージを変えたい――。同社は2014年から女性運転手の採用に力を入れている。営業所に女性用トイレや休憩室を整えたほか、女性専用の問い合わせ窓口を新設。採用時から入社後まで相談に乗る態勢を整えた。
「人を採れないことが会社の成長にとって最大のボトルネック」。遠藤隆光常務(44)はそう説明する。
同社は経営難で08年に民事再生法の適用を申請し、経営陣を刷新した。業績回復には女性の活用が不可欠だった。13年に7人だった女性運転手はいま20人。全体の4%を占める。全国平均は1%台(日本バス協会調べ)で、業界では高い方だ。それでも、路線の維持に加え、スクールバスやコミュニティーバスの受託、高速・観光バス事業なども含めると、人手はまだ足りていない。今後2年間で、女性運転手を30人に増やそうと考えている。
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