米国の右派系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の人気が急落していることが、米調査会社などの調べでわかった。扇動的な記事で社会の対立をあおってきたメディアだが、閲覧者や広告の落ち込みが激しくなっている。
米IT調査会社コムスコアによると、ブライトバートの月間ユニークビジター数(サイトを訪れた実際の人数)は、大統領選のあった昨年11月に約2300万人に達したが、その後は減少。政権が発足した今年1月に一度上昇したが、4月には約1100万人に半減した。
広告主も激減している。米広告調査会社メディアレーダーによると、ピークだった3月には242社が広告を出していた。ところが4月に70社に激減し、5月には26社になった。メディアレーダーは「保守系のサイトは軒並み広告が減っているが、ブライトバートの落ち込みは特に激しい」としている。
広告主は3月まではメディアやエンタメ、小売りなど幅広かったが、4月はほとんどが保守系団体だった。背景には、ブライトバートに広告を載せないよう呼びかける運動がツイッター上で広がった影響などもあるとみられる。
ブライトバートは、トランプ米大統領の側近スティーブン・バノン首席戦略官が会長を務めた。陰謀論や人種差別、性差別などをあおり、事実に基づかない記事も多いが、一時はソーシャルメディア上で米大手メディアの記事以上の反応を得ていた。(ワシントン=宮地ゆう)