甲子園歴史館に展示されている初代の優勝旗=兵庫県西宮市
来夏の第100回全国高校野球選手権記念大会に向け、優勝校に渡される「深紅の大優勝旗」の新調が進んでいる。1915(大正4)年に開かれた第1回大会の初代から数えて3代目となる。現在の2代目に続き、京都・西陣織のベテラン職人らが制作にあたる。来年4月の完成予定。
バーチャル高校野球
平岡旗製造(京都市下京区)が手がける。今年2月から下絵や色選びを進めていた。今月1日には、同市左京区の作業場で、縦糸に横糸を通す織り作業が始まった。職人が、幅2・2メートル、奥行き1・5メートル、高さ1・7メートルほどの木製織機を使い、足でペダルを踏んで縦糸を動かしながら、1本1本丁寧に織っていく。
手作業のため、1日に進む長さは、無地の部分で約10センチ、柄部分は約2センチ。5、6カ月ほどかけて、優勝の2文字の間にハトと月桂樹(げっけいじゅ)とされる絵柄を描き、下にはラテン語で「勝者に栄光あれ」という意味の文字を入れて織り上げる。
大きさや重さ、デザインは2代目と変わらず、縦1・06メートル、横1・51メートルで、旗とポールを足した総重量は約10キロとなる予定。制作費用は約1200万円。
2代目は58年の第40回大会から使われ、歴代優勝校に引き継がれてきた。生地の傷みが激しくなってきたことから新調することになった。同社の平岡成介・専務取締役(42)は「この優勝旗は球児が必死にとりにいくもの。重みがある。妥協無く作りたい」と話した。(吉川喬)