近大戦で先発した京大の藤原=阪神甲子園球場
大学野球の関西学生リーグで今春、京大が2勝を挙げた。プロ野球ロッテの田中が在籍した2014年秋季以来、5季ぶりとなる快挙の立役者は、2試合とも先発し、勝ち投手となった先発の藤原風太(2年、東海大仰星)だ。
藤原の身長は172センチで、直球の最速は137キロ。決して速くはないが、強気の投球が持ち味の右腕だ。直球で押し、要所で変化球を低めに集める。青木孝守監督は「動じないのがいいところ」と話す。
大阪府枚方市出身。中学時代は強豪硬式チームの「枚方ボーイズ」に在籍した。当時の監督は、現在3季連続甲子園4強の秀岳館高(熊本)を率いる鍛治舎巧監督で、1学年下には現ソフトバンクの九鬼隆平らもいた。その中で2年秋にはエース候補にもなったというが、「負けるのが怖くて楽しめなくなった」。引き留められたがチームを離れ、通っていた東海大仰星中等部の準硬式野球部に入り直した。高校で再び硬式野球に取り組んだが、1年の秋季大会のときに左大腿(だいたい)骨を骨折。エースになることはなかった。
一方、勉強はいつも学年370人の中でトップ。部活動の傍ら、教師のすすめで京大にあこがれた。「自由でなんでも挑戦できると教えてくれた。世界を飛び回りたい」。ベンチ入りした最後の夏、マウンドに立つことなく大阪大会5回戦で敗れると、夏休みは日々12時間の猛勉強。現役で京大工学部に合格した。
「地図に残るものをつくる」のが夢で、将来は土木の知識を学んで橋を建設したいと思っている。野球はもうしないつもりだったが、リーグ戦を見て目覚めた。「レベルが高くて面白そう」。1年の5月に入部。1年間は入学前に痛めた右肩のリハビリと、体力作りに励んできた。
初めて体験したリーグ戦は、最下位で勝ち点0ながら、関学と同大に勝利した。「仲間と勝つ楽しさを感じた。勝ちたい、チームに貢献したいという気持ちが強くなった」。学問との両立は厳しく、課題を終わらせるのに深夜2時までかかることもある。それでも今、野球はやめない。次の目標は自身は完投、チームとしては上位を脅かす存在になることだ。(橋本佳奈)