中原美智子さん(右)が発案した「ふたごじてんしゃ」の試作品。3輪で後部に二つの座席を並べたのが特徴だ=大阪市都島区
タイヤは3輪、後部に二つの子ども用座席。従来とは違う3人乗り自転車が年内に発売される。その名も「ふたごじてんしゃ」。発案者は双子の母親だ。安心して息子たちを乗せられる自転車が欲しい――。そんな思いで構想を練り、自ら会社も立ち上げた。
発案者は大阪市に住む中原美智子さん(45)。6歳の双子の男児の母親だ。双子を育てる大変さは想像以上で、1歳になるまで自分一人では親子の外出もできなかった。
従来の3人乗り自転車に双子を乗せたが、2度転んで怖くなった。電車に乗る時も双子用ベビーカーが場所を取るため周囲への気遣いで心身ともに疲れ切り、外出がつらくなった。「双子という理由で、私が子どもの経験を奪っている罪悪感でいっぱいだった」
従来の3人乗りは前部に年下、後部に年上の子を乗せる想定だ。双子向け自転車を探したが見つからず、2013年に「自分で作ろう」と決意。地元の自転車メーカーなどに話を持ちかけた。
しかし、返ってきた言葉は「思いつきで物言うな」「今ないってことは問題があるからや」――。自宅で泣いた。
14年夏、ようやくあるリヤカーメーカーが試作してくれた。一般社団法人自転車協会の基準では、3人乗り自転車の前部座席の上限体重は15キロ。幼・保育園児のうちに超えるため、1人あたり22キロが上限の後部に2人を乗せることにした。
その分、後輪は2輪に。スタンドなしでも自立でき、乗り降りの際にバランスが崩れなくなった。また、前部の重さでハンドルがとられることもなくなり、サイズも国の規格内に収まった。
4歳になった息子たちは、試作…