手書きで地図を製作する故・佐藤元治郎さん=北海道北見市、関係者提供
北海道北見市で約40年にわたって手書きの住宅地図「北見の地図」を発行してきた佐藤元治郎さんが5月25日、85歳で亡くなった。街をつぶさに歩いて製作した地図には独特の味わいがあり、多くのファンがいた。その功績をたたえる追悼展が、同市北3条西2丁目の福村書店ギャラリーで開かれている。
佐藤さんは市内で印刷会社「トーエイ社」を営み、1976年から住宅地図を発行。市の合併や住居表示の変更をはじめ、引っ越した家や新築の家にも目を配り、街並みの変化を追い続けた。
追悼展では、初版から最後の地図となった2016年版までの全16冊を展示。北見の街を描いたカラーの一枚地図や、仕事中の佐藤さんの姿をおさめた写真、地図の下絵とした空撮写真、00~16年のJR北見駅周辺地図のパネルなども並ぶ。医療機関の閉鎖や公共施設の移転、住民の転居などを書き込んだ地図も多く、佐藤さんの努力がしのばれる。
追悼展を企画したのは、福村書店を運営する「図書館ネットワークサービス」北見営業所長の相沢圀夫さん(70)。佐藤さんとは長年親交があり、「いつも街の移り変わりを見て、地図の手直しをしていた。大変な苦労だったと思う。1人でコツコツやってきた手書きの地図づくりの思いを伝えたい」と、多くの人の来場を呼びかけている。
30日までで、日曜定休。同市泉町1丁目の市立中央図書館でも、18日まで追悼展「北見の地図」を開いている。いずれも入場無料。(石間敦)