第1ラウンドを終え、同組の高橋彩華と抱き合う宮里藍(左)=有田憲一撮影
11日に閉幕した女子ゴルフのサントリーレディス(兵庫・六甲国際GC)ではキム・ハヌル(韓)が今季3勝目を挙げた。ただ26位ながら、誰よりも注目を浴びたのが引退表明したばかりの宮里藍。一緒に回った選手からは、その姿への尊敬の声が聞かれた。
18番パット後にあふれた涙 宮里藍、攻めのゴルフ貫く
「これ以上ないゴルフ人生だった」宮里藍が引退会見
予選ラウンド2日間はアマで18歳の高橋彩華、米ツアーをともに戦った上田桃子と一緒。第2ラウンド前半、高橋はスイングの際に左手首を痛めた。大勢のギャラリーにも驚きパニック状態。パットを外した後にグリーン上で「誰でもそういう時はあるよ」と励まされた。ハーフを終えて「お互い後半、頑張ろうね」と声をかけられ、「涙が出そうになった」。
宮里自身も体調が万全でなかった。16番でボギーをたたき、1オーバーと予選通過ラインぎりぎりと追い込まれるなか、17番で3メートルのバーディーパットを決めてきた。上田は「ここだよな、あれが藍さんなんだと。重い一打だと、わかったうえで決める」。改めてその集中力に感じ入った。
第3ラウンドで一緒だった平野ジェニファーは米国出身で、2014年から日本でプレー。まだ日本語がつたない。回っている間、宮里から英語で話しかけてくれた。「食べ物のことなど、いろんなこと。言葉でストレスがたまっていた。リラックスできた」
最終ラウンドは、子どもの「藍ちゃん頑張れ」という可愛い声も浴びていた。笑顔を返し、ギャラリーの雰囲気を和ませた。成田美寿々は「思い入れのある日なのに、変わらない。ゆったりとしたリズムを周りに作るのが上手」。改めて上田は語る。「立ち居振る舞いも含めて、彼女から学ぶものしかない」(有田憲一)