子どもに多い「咽頭(いんとう)結膜熱」の患者が2007年以降最多となっていることが13日、国立感染症研究所の集計でわかった。「プール熱」とも呼ばれる感染力が強い感染症で、専門家は手洗いなどで予防するよう、注意を呼びかけている。
感染研によると、咽頭結膜熱は、発熱や目の充血、のどの腫れがみられる。特効薬がなく、肺炎になることもある。小学校入学までの子どもがかかることが多い。せきやくしゃみ、タオルの使い回しで感染する。プールの水からうつることもあるが近年は塩素消毒の効果でプールから感染が広がるのはまれという。
全国約3千の医療機関から報告された患者数(速報値)は最新の1週間(5月29日~6月4日)で1医療機関あたり0・95人。都道府県別では山梨県(3・29人)、北海道(2・02人)、奈良県(1・53人)、鹿児島県(1・51人)が多かった。
感染研によると、例年は6月ごろから患者が増え始め、7~8月にピークを迎える。今年は5月から増えている。例年のウイルスとの違いは特にみられず、流行の理由がはっきりしないという。
予防には▽せっけんでの手洗い▽タオルや目薬を使い回さない▽おむつを替える時はマスクや使い捨て手袋を使う――などが有効という。感染研感染症疫学センターの藤本嗣人・第四室長は「ウイルスは例年と特に違いがないので流行の理由はわからないが、注意深くみていきたい」と話す。(福地慶太郎)