米財務省は12日、トランプ大統領が2月に署名した金融規制見直しのための報告書の第1弾を公表した。過剰な規制が経済成長を阻害しているとして、オバマ前政権が進めた「金融規制強化法(ドッド・フランク法)」の一部を見直すよう求めたほか、消費者保護を監督する省庁の改革も求めており、野党・民主党などからの反発は必至だ。
特集:ドナルド・トランプ米大統領
オバマ政権は、金融機関がリスクの高い取引に走って2008年の金融危機につながった教訓から、ドッド・フランク法を成立させた。総資産額500億ドル(約5・5兆円)を超える大手金融機関に対し、当局による毎年の特別検査(ストレステスト)などを求めている。
約100項目にわたる今回の報告書では、厳しいルールが適用される金融機関の線引きを緩和するよう求めたほか、中小の金融機関への規制緩和を提案。消費者保護のために設置された「消費者・金融保護局(CFPB)」の見直しも求めた。銀行による投機的な取引を禁じる「ボルカー・ルール」については、資産額100億ドル以下の金融機関は適用除外とするよう提案した。
報告書は「ドッド・フランク法はコストのかかる幅広い規制を銀行に課すことで、経済成長への障害を生み出した」と指摘した。
財務省は、4回に分けて報告書を出す方針で、今回はその第1弾としている。提案の中には議会で法案を通す必要があるものも含まれており、トランプ政権は今後議会などとの調整を進める方針だ。(ワシントン=五十嵐大介)