国内シニアデビューとなった大竹(右)はトルコ戦の試合前、柳田と話した
バレー全日本男子に期待のアタッカーが登場した。元五輪選手を父に持つ、中大4年の大竹壱青(いっせい)(21)だ。全日本の国内デビュー戦で強烈なパワーを見せつけた。中垣内祐一監督の評価も急上昇中だ。
11日、群馬・高崎市であったワールドリーグの韓国戦。大竹の放ったバックアタックがブロックに入った選手の頭で跳ね返ると、ボールは高さ19メートルある天井まで届き、観客を沸かせた。「一瞬、球を見失って、飛んでったなあと。自分がレシーブを受けて天井まで届いたことはあったけど、スパイクで届かせたのは初めて」。大竹は気持ちよさそうに強打を振り返った。
全日本の国内デビューとなった9日のトルコ戦は、両チーム最多の17得点。韓国戦も柳田将洋と並ぶ10本のスパイクを決めた。ポジションは得点力を期待されるライト。全日本では清水邦広(パナソニック)の定位置だが、清水も30歳。けがもあり今大会は欠場している。代わりに指名されたのが、202センチの大竹だった。
大竹は中大では当初、全日本で活躍した父秀之さんと同じ、主にブロックや速攻を期待されるミドルだった。昨夏、中大で同級生の石川祐希の勧めもあり、ライトに転向した。石川は当時をこう振り返る。「身長が2メートルあるし、意外と器用。転向した方が、将来輝けるんじゃないかと思った。まだまだ成長すると思うし、競って頑張っていきたい」。すでに全日本で不動の地位を築いた石川も、大竹の台頭を歓迎している。
中垣内監督は「若手にはぐっと伸びる時期がある。大竹もそのゾーンに入ったかな。世代交代の可能性も見えてきた」と大砲の成長に期待を注ぎ、助走の入り方や精神面のアドバイスをする。大竹は「ガイチ(中垣内)さんは昔から知っていて、気にかけてくれているし、教えてくれる。早くプレーで出していきたい」。父と一緒に1992年バルセロナ五輪に出た監督の期待に応えられれば、20年東京五輪の舞台も見えてくる。(能田英二)