九州大学で見つかった「春水」
現代中国を代表する女性作家謝冰心(シエピンシン、1900~99)の初期の詩集の自筆原稿が九州大学で見つかった。魯迅の実弟で作家の周作人を通じて、九大の研究者に贈られていた。専門家は「中国現代文学研究にとって貴重な原資料だ」と評価する。20日発行の中国の学術誌「中国現代文学研究叢刊」で報告される。
冰心は、中国では教科書にも作品が載る、国民的な作家。中国で近代文学が始まった1910年代後半から活躍し、「文壇の祖母」とも呼ばれた。50年代に東大で教壇に立ち、東大初の女性講師にもなった。
見つかったのは、23年に発行された、第2詩集「春水」の原稿で、本の形にとじられていた。
発見した、九大言語文化研究院の中里見敬(なかざとみさとし)教授(中国文学)によると、「春水」は、漢詩とは異なる口語自由詩が中国で出始めた頃の作品で、文学史的価値は高い。当時、冰心は大学生。指導教員だった周作人は出版のための編集を手がけていた。
中里見教授は昨年末、公開され…