日本選手権には100メートルと200メートルにエントリーしている福島千里
陸上の第101回日本選手権は23日、8月のロンドン世界選手権の代表選考会を兼ねて大阪・ヤンマースタジアム長居で開幕した。9秒台への期待がかかる100メートルなど注目種目が多い男子と比べ、女子は長距離を除いて世界選手権に向けた明るい話題が少ない。
代表選手が発表済みのマラソンと競歩以外で、ロンドン世界選手権への参加標準記録を突破している女子種目は5000メートルと1万メートルのみ。ほかで出場できなければ、5000メートル、1万メートル、マラソンで3人ずつの計9人が出場した1995年スウェーデン・イエーテボリ大会以来の不振だ。
気がかりなのが、ともに12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪に出場した短距離の福島千里(札幌陸協)と、やり投げのエース、海老原有希(スズキ浜松AC)の不振だ。
100メートルと200メートルの日本記録保持者である福島は今季、足のけいれんに悩まされている。4月の織田記念(広島)は100メートルを棄権。5月のセイコーゴールデングランプリ川崎は、自己ベストから0秒43遅い11秒64だった。今月4日の布勢スプリント(鳥取)の2レース目では、途中で減速し12秒57。悲痛な顔で「ダメでした」とこぼした。
最低目標に掲げる5大会連続の世界選手権出場へは、100メートルは11秒26、200メートルは23秒10以内が必要だ。だが、けいれんの再発が続き、スタート前には不安げな表情が見て取れる。伊東浩司・日本陸連強化委員長も「ちょっと心配です」と気をもんでいる。
女子やり投げの日本記録63メートル80を持ち、世界選手権3大会連続出場中の海老原も、今季は61メートル40の参加標準記録に届いていない。セイコーゴールデングランプリ川崎では60メートル53。助走がうまくいかず「川崎で狙っていかないと難しくなっていく。標準を投げておきたかった」と肩を落とした。今月4日の田島記念(山口)は優勝したが58メートル97と、本来の力を発揮できずにもがいている。
昨年引退した女子400メートル障害の日本記録を持つ久保倉里美と、女子400メートルの日本記録保持者である千葉(旧姓・丹野)麻美の抜けた穴も大きい。日本選手権では、100メートル障害の木村文子(エディオン)や200メートルの市川華菜(ミズノ)、やり投げで成長著しい斉藤真理菜(国士舘大)らの奮起に期待がかかる。(遠田寛生)