米国土安全保障省(DHS)は28日、米国に乗り入れる全ての国際線に対して搭乗前の荷物検査などの強化を要請するテロ対策を発表した。要請に応じない場合は、就航の停止措置も取るとしている。日本も対象に含まれるが、パソコンの機内持ち込み禁止は見送られた。
DHSが強化を求めているのは、空港での乗客の出国審査、電子機器の検査などで、ハイテクの検査機器の導入や探知犬の使用の拡大を例示した。ロイター通信が欧米関係者の話として伝えたところによると、航空会社は21日以内に機器などによる爆発物検知の強化をし、それ以外のすべての強化策は120日以内に実行するように求められているという。
対象となるのは、世界105カ国の280空港と180航空会社。日本も対象で、夏休みを控え、空港や航空会社は対応に追われそうだ。
ただ、パソコンなど携帯電話より大きな電子機器を機内に持ち込むことを禁止する措置を全世界へ拡大することは今回、見送られた。米政府は今年3月、中東や北アフリカなどの8カ国の航空会社が運航する米国便に、こうした機器の機内持ち込み禁止措置を導入していた。全世界に広げた場合の影響や、各国空港での混乱の可能性を考慮したとみられる。
DHSは安全上の理由から対策の詳細は明らかにしておらず、担当者が今後航空会社側と協働し、実施に移していくとしている。今回の要請でより直接影響を受けるのは、設備が乏しい途上国とみられる。
DHSのケリー長官は、「我々の敵は爆発物を隠す新たな方法を常に探している。航空の安全の基準を上げる時だ」と述べた。米側の要請に応じないか対策が遅い場合は、電子機器の機内持ち込みの禁止などの規制や、就航自体の停止も行うとした。(ワシントン=杉山正)