元秘書の「上申書」という書類を手に会見する自民党の下村博文幹事長代行=29日午前11時15分、東京・永田町、越田省吾撮影
自民党の下村博文・幹事長代行は29日、文部科学相だった2013年と14年、学校法人「加計学園」(岡山市)の秘書室長から、政治資金パーティー券の費用として各100万円、計200万円を受け取ったことを明らかにした。「11の個人と企業から秘書室長が預かったもの」としたが、加計学園関係者が含まれるかについては「学園関係者だけではない」と述べるにとどめた。
下村氏側、加計幹部から200万円 「個人と企業から」
特集:加計学園問題
同日発売の週刊文春が、下村氏を支援する政治団体「博友会」の政治資金パーティー券購入費用として、加計学園から計200万円を入金されながら、政治資金収支報告書に記載していなかったと報じたことを受けて会見した。記事は、入金は下村氏の事務所の内部文書に記されていたとしている。
下村氏は「事務所の平成25年(13年)の日報で確認したところ、加計学園の秘書室長が事務所を来訪され、個人及び企業であわせて11名から預かってきた合計100万円の現金を持参したので、11名の領収書を作成し、渡したことが確認できた。平成26年(14年)も同様に11名のパーティー券購入であった」とし、秘書室長から計200万円を受け取っていたと説明した。
政治資金規正法では、20万円を超えるパーティー券の購入を受ければ政治資金収支報告書に記載しなくてはならない。博友会の13年と14年の同報告書には記載がなかったが、下村氏は「(両年とも)11の個人と企業は各20万円以下の購入だった」と説明し、記載の必要はないものと主張。そのうえで「加計学園からのものではない」として記事の内容を否定した。
一方、11の購入者については「どんな方か分からないが、加計学園の内部だけで11人ということではないと話があったと聞いている」と説明。「日報に、窓口として加計学園と書いてあった。領収書を渡しているので、調べられるところは今後、しっかり調べたい」とした。
下村氏は現在、自民党の東京都連会長を務め、7月2日投開票の都議選に向けた選挙戦で陣頭指揮を執っている。会見では「事実に反する記事がこの大事な時期に掲載されること自体、選挙妨害目的と受け止めざるを得ない」と不快感を示した。
加計学園は10年ほど前から愛媛県今治市に獣医学部の新設を目指していたとされ、県と市は14年までに15回、構造改革特区での設置を申請していた。これらの申請は通らなかったが、15年6月に国家戦略特区に申請したことで実現。この経緯をめぐり、内閣府が「総理のご意向」などと文科省に対応を求めたとされる文書が文科省内に残っていたことがわかっている。