国家戦略特区での獣医学部新設をめぐり、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」に事業者が絞り込まれた経緯について、内閣府が3日の民進党調査チームの会合で「記録は取っていない」と回答した。記録がなければ、同様に獣医学部新設をめざしていた京都産業大が選ばれなかった経緯は検証できず、7月中にも開かれる見通しの国会の閉会中審査で焦点になりそうだ。
特集:加計学園問題
いちから解説! 加計学園問題 ポイントは
3日の会合で、内閣府の塩見英之参事官が明らかにした。民進の国会議員からは「加計ありきだ」といった批判が集中した。
特区担当の山本幸三地方創生相が国会で、加計学園が獣医学部を設置する愛媛県今治市の提案について「(京産大が学部新設を計画していた)京都府の提案よりも熟度が高いと判断した」などと答弁していることから、民進調査チームは「熟度」の基準や、それを検討した際の議事録などを示すよう求めた。
塩見参事官は専任教員の確保、鳥インフルエンザなどの水際対策といった3項目を熟度の基準に挙げ、今治市の提案は京都府より「早期実現性が高いと判断した」と説明。判断については「それぞれの提案書を見比べて議論した」と述べた。しかし、議事録などの記録については「内部の議論だったので記録は取っていない」と答えた。
民進の桜井充参院議員は「水際対策の実績がある京都府(の提案)がなぜ落とされたのか。加計ありきで中身の議論をしていない」と批判。記録が残っていないか改めて調べるよう求めた。(水沢健一)