5日、出稽古で九重部屋を訪れた白鵬(右)
大相撲名古屋場所(愛知県体育館)は9日に初日を迎える。賜杯(しはい)争いとともに注目されるのが、横綱白鵬にかかる大記録だ。元大関魁皇が打ち立てた歴代最多の通算1047勝まで、あと11勝。初日に小結琴奨菊、2日目に平幕栃ノ心の挑戦を受ける。
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自身の衰えを口にするようになった32歳の白鵬だが、1年ぶりの優勝を全勝で飾った夏場所から引き続き状態は良い。場所前は精力的に出稽古へ。特徴の違う関取衆と番数をこなし、切れのある動きを見せた。
優勝38回、9年連続年間最多勝など数々の最多記録を持つ第一人者は、今回の通算勝利に特別な思いを抱く。「この1年は偉大なものにのみ込まれていた感じがあった」。特に強い意識をのぞかせるのが、元横綱千代の富士が積み上げた歴代2位の通算1045勝。
同じ横綱として残した大記録には、別格の価値があるとの思いだ。5日には「かわいがってもらった」という千代の富士が生前師匠だった九重部屋に出稽古し、「ここで汗を流すことに意味がある。いい相撲を取って恩返しがしたい」と語った。横綱在位が丸10年となる今場所、一気に記録を更新する可能性は十分ある。
新大関高安にも注目だ。調整は順調で、兄弟子の横綱稀勢の里に6連勝する場面も。不安材料は終盤の息切れと連敗癖。課題を克服して、戦後5人しかいない新大関優勝を狙いたい。
稀勢の里は負傷した左腕がどこまで復調しているか。圧力は健在だが、場所前の稽古では巧者相手に左を使えない相撲が目立った。初日は新関脇御嶽海、2日目は前頭筆頭に番付を上げた貴景勝。ともに勢いのある若手で侮れない。
力強さが戻ってきた大関照ノ富士、名古屋で3度優勝している日馬富士も白鵬を追う存在。今年2場所で途中休場した鶴竜は、何とか存在感を取り戻したい。(鈴木健輔)