奉納土俵入りを終え、記念写真に納まる横綱稀勢の里=代表撮影
14日に初日を迎える大相撲夏場所で自身初めて番付トップの東横綱に座る稀勢の里には、3場所連続優勝がかかる。春場所中に左上腕などを痛めた影響で調整が遅れていたが、出場を決断した。12日の取組編成会議で、初日に小結嘉風、2日目に平幕隠岐の海の挑戦を受けることが決まった。
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この日朝、国技館近くの神社で土俵入りを奉納した後に取材に応じ、「不安はありますけど、しっかり稽古できた。平常心でいいと思う」と意欲を語った。初優勝から3連覇となれば双葉山以来80年ぶり、15日制では初めての快挙だが、道のりは険しそうだ。
4月の春巡業を、「加療1カ月」との診断書を提出して全休。非公開にした部屋での稽古では下半身を鍛えていたというが、その間、相撲を取る稽古はほとんどできていない。
今月3日の横綱審議委員会の稽古総見を欠席し、関取衆と申し合いを再開したのは6日。相手の大半が十両や平幕だった。弟弟子の関脇高安との猛稽古で体を作ってきたこれまでと比べれば質も量も物足りない。
故障した左は、稀勢の里の武器だ。「痛みはない」と本人は言うが、稽古で強烈なおっつけを見せる機会は少なかった。元横綱でNHK相撲解説者の北の富士勝昭さんは万全ではないと見て、「無理して優勝を狙うこともない。ケガしない程度にやればいい」と話していた。嘉風は動きが速いベテラン。隠岐の海には昨年秋場所初日に苦杯を喫している。どんな滑り出しを見せるか注目される。
一方、好調ぶりをアピールするのは1年ぶり38度目の優勝を狙う白鵬。春場所で右足親指を痛めて途中休場したが、場所前の出稽古では影響を感じさせない動きを見せた。初日は初顔の平幕千代の国、2日目は嘉風が相手。大関昇進の目安にあと10勝としている関脇高安は、平幕大栄翔、大関豪栄道と顔を合わせる。(鈴木健輔)