連合チームのノック練習に参加する東京学園の関俊介君。自由がきく左手で捕球し、グラブを外してから投げる=東京都板橋区の大山高校、酒本友紀子撮影
脳性まひで生まれつき右半身が不自由。右腕を思い切り振ることはできず、走るのは少し遅い。東京学園高校(東京都目黒区)の3年生、関俊介君。左腕だけで捕球と送球をこなし、グラウンドに立つ。同校野球部の唯一の部員として連合チームに加わり、8日に開幕する全国高校野球選手権東東京大会(朝日新聞社、都高校野球連盟主催)で勝利を目指す。
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6月中旬、関君は大山・産業技術高専・東京学園・六郷工科の4校連合チームの一員として練習試合に臨んだ。六回、レフトの守備についた直後、左翼線にヒットを打たれた。背走して追い、左手のグラブでボールをつかんだ。さっとグラブを外して右脇に挟み、左手でショートにノーバウンドで返球。連係プレーで打者の本塁生還を阻止した。その後の打席では送りバントを決め、試合は4―4で引き分けた。
関君は右腕が思うように動かず、ボールを数メートルしか投げられない。右足首も硬く、俊敏な動きが難しい。今の投げ方は幼稚園の頃、父の一浩さん(43)とキャッチボールをしていて、自然に身につけた。小学1年から野球を始め、中学では軟式野球部に所属した。
右足で地面を蹴る力が弱い分、走り込みではついていけない。体の左右のバランスが悪く、思った方向に球を投げられない。でも「ハンディに負けるか」との思いで、左腕で1千回の素振りを続けた。帰宅してからは、街灯の明かりを頼りにアパートの壁にボールを投げた。
中学時代は公式戦にあまり出られなかったが、そのことがむしろ、高校でも野球を続ける思いを強くした。東京学園は中高一貫校に切り替えるため、今の3年生を最後に生徒募集を一時停止しており、後輩はいない。同級生にも野球部員はいない。昨夏から連合チームを組み、活動を続けている。
他校の選手ともすぐに打ち解けたが、平日の練習は1人。朝練で走り込み、放課後はスタンドに置いた球を打つ「置きティー」を繰り返し、監督のノックを受ける。不自由な右手足をカバーするため、筋トレで左半身を鍛え、今は50メートルを7秒台で走る。
「練習がつまらない時もあった。でも、土日にみんなと野球ができると思えば頑張れた」。走塁練習は先頭に立ち、試合中は誰より声を出す。背番号は「7」をもらった。チームメートの遠藤孝夫君(3年)は「ムードメーカーで欠かせない存在。やっぱ俊介が打つと盛り上がる。努力してる姿を知ってるから」。
チームの初戦は11日。将来は身体障害者の軟式野球チームに入ると決めている関君にとって、今大会は最後の硬式野球のプレーになる。「集大成と思って全てを出し切る。1本でも多くヒットを打ち、ミスなく守って結果を出したい」と意気込む。(酒本友紀子)